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ファーマシ―そま通信2022年末号

2022.12.17

ファーマシーそま通信 2022年末号
 私たちのオススメ
 
~ストレスがあっても熟睡しましょう!~
    坂本良恵

 現代医学では、脳が外界からの刺激に対して反応した結果、様々な感情を生み出すと考えますが、東洋医学では、五個の臓器が感情を生み出すと考えます。脳の機能は五臓と呼ばれる内臓に分散され外界のストレスに対しても五臓が反応し、それが過ぎると五臓が障害される。つまり五臓六腑を健康に、そして元気にさせる方法こそ、脳の健康に役立ち熟睡脳に結びつくというわけです。
 
 西洋医学では「心身医学」という言葉が生まれて心と身体の関係について研究され始めていますが、これは比較的新しい分野です。
 東洋医学では数千年前の古代からその関係を見つめ、身体、つまり五臓六腑を心(感情)が障害するという発想から、その臓腑をまもる養生法、中成薬がたくさん生まれています。
 まさに五臓六腑を健康にさせる方法が、脳、心の健康につながり、これこそが熟睡脳を目指す鍵となります。
 
 コロナウイルスが我々に恐怖感を植え付け初めて早4年近く。ワクチンの恩恵をうけ、少しずつ明るい先が見えてきそうな状況があるなか、まだまだ油断はできません。漢方薬のご相談の内容で、以下のようなものが増えている状況です。
 
  ・どこが悪いのでもないけど常にしんどい、つらいような気がする。眠れてはいる         
   が熟睡感が得られない。元気になる漢方薬を紹介してもらえないか。
  ・眠れないのは、もう仕方ない。いつものこと。病院の先生からもらった錠剤の睡 
眠薬は体に良くないと聞いたけど、本当か。体に良い漢方薬で眠れるものないですか。
 
 しかし思い出してみてください。コロナ禍が始まった頃は皆さん、なんとかこの危機的状況に打ち勝とうと一生懸命でした。
 
  ・免疫力をあげて、罹患しても大丈夫なもの、ないですか。
  ・ワクチンの副作用を防止するような漢方薬は?
  ・完璧なマスクはないですか。
 
 ウイルスと戦おうと前向きで、我々もなんとかお答えしようと、がむしゃらでした。
 
 実はこの変化は、今から80年ほど前の1936年、カナダの生理学者ハンス・セリエが提示した「セリエのストレス説」にあてはめることができます。
 セリエは、「外界から受けるさまざまな刺激や負荷(ストレス)が心と身体に影響を与える」と、それまで物理学での考え方であった「ストレス」を初めて生理学に応用し、ストレスにさらされる時間と体の変化の第一段階を警告反応期、第二段階を抵抗期、第三段階を疲弊期と3つの段階に分けて定義したのです。
 
 コロナウイルスの発生により、ストレスを受けたときから順に考えてみます。
*警告反応期
体温、血圧、血糖値の低下、急性胃腸潰瘍などが数分から1日くらい。
体は徐々に適応していこうとします。(コロナ発生、日本上陸発覚直後)
 
*抵抗期
生体防御反応は完成されます。心身のバランスを保つ機構が自律神経系、内分泌系、免疫系によってなんとか保たれている状況です。抵抗力はあがりますが、それと同時に抵抗し続けることにより体や心の調子も悪くなり、不眠状態に陥ってしまいます。(3密対策、ワクチン、免疫アップの漢方薬の探求)
 
*疲弊期
 それらに対応する時期が長くなればなるほどエネルギーが消耗され、適応力が徐々に低下します。(自覚できない五臓六腑の変化) 再び第一段階のショック警告期に似て副腎皮質が機能低下、対処しなければ、ついには致命的な状況になるかもしれません。
 
 以上から現在の自身の立ち位置を少し俯瞰して考えていただきたいと思います。
 
 自分は、もしかしたら疲弊期に近づいているのではないか、いやいや、まだまだ抵抗期でがんばっているよ、など。
 いずれにしても、ストレスがかかると増えるといわれるストレスホルモン、コルチゾールに我々の体は長期間さらされているはずです。脳の海馬の神経細胞に影響を与え、海馬の萎縮、障害へと結びつき記憶障害、気力低下、不眠、熟睡感が得られないなど日常生活に支障をきたすようになるのです。
 
 そこで今回は睡眠薬ではない、それぞれのストレスからくる五臓六腑の変化にみあった中成薬、熟睡脳に結びつく漢方薬をご紹介したいとおもいます。(詳しくは、スタッフにお尋ねください)
 
~ストレスに襲われた警告ショック反応期~
      ・牛黄製剤
 
~抵抗期から疲弊期にかけて~
      ・瀉火利湿顆粒(怒りっぽい、めまい、目は充血、
              
口は苦い)
      ・温胆湯(吐き気、不安、恐怖、多夢、舌苔厚)
      ・冠元顆粒(肩こり、頭痛、気血不足)
      ・晶三仙(食べ過ぎ、消化不良)
      ・シベリア人参(補気)
      ・心脾顆粒(思慮過度、健忘)
      ・酸棗仁湯(心肝血虚、不安)
      ・瀉火補腎丸(ほてり、耳鳴り、めまい、足腰のだるさ)
      ・天王補心丹(のぼせ、動悸、いらいら、潮熱盗汗)
      ・ミンハオ(鎮静)
 
☆ 大事なことは、疲弊期を迎えないように、ストレスに抵抗しようとする期間をできるだけ短くし、脳を痛めつけるストレスホルモンと緩やかな付き合いをすることです。ストレスを全くなくすることは不可能で、体の抵抗力の出番がなくなることは、かえって、マイナスにもなります。
 
 また弱った脳を活性化しようと、いわゆる脳トレのドリルなどを解いたりする、楽しいが過度に熱中する、などは、ストレスを増やすこと。熟睡脳に必要なのはリラクゼーションにより脳を休ませることなのです。ここで紹介した中成薬の力が助けになることを心から願っています。ご相談お待ちしております。
 
       参考図書
自分でできる熟睡脳のこつ  (東京大学大学院、医学博士 酒谷薫)


 
~風邪(コロナ・インフルエンザも)は自分でしか治せない!〜
                    兒玉眞理子
 
  厚生労働省は10月17日に、「発熱した患者が病院に殺到するのを避けるため、解熱剤を常備しておいてください。」とういう趣旨の発信をしました。医療機関の混乱を避けるための発信でしょうが、解熱剤を使えば良いというのは正しいでしょうか?
 
 「重症患者における発熱と解熱処置に関するsystematic review」(日本集中治療学会雑誌2011年18巻1号p25-32) では、「重症患者の発熱を解熱すべきであることを示す根拠は乏しく、一概に解熱処置を行うことは推奨されない」と結論しています。

「解熱処置の患者予後に対する有効性・有害性を検討したランダム化比較試験は、小規模研究が2つ存在し、38.5℃以上の発熱を積極的に解熱することで、患者死亡率が増加する可能性が示唆された。」
 そもそも発熱はウイルスを退治するために体温中枢の設定を38~40℃に上げているのです。身体はウイルスが減るまで高体温を維持します。解熱剤で熱を下げるとその間にウイルスは急速に増えてしまいます。
 
 国立感染症研究所毒性病理室長 小舟冨美夫氏が発表した論文「ウイルス感染症と解熱剤」(1987)によれば、ウサギにリンダ―ペストウイルス(RVウイルス)という麻疹に似たウイルスに感染させた後、解熱剤を与えるとウイルスが100倍に増え(最高は1000倍)、7羽中6羽のウサギは死亡しましたしかし、解熱剤を与えなかったウサギは6羽中1羽のみでした
 アセトアミノフェンは、日本小児科学会で安全な解熱剤とされていますが、解熱効果が弱いので、使い過ぎに注意が必要、また肝障害に注意が必要です。ロキソニンなどの非ステロイド消炎鎮痛剤はミトコンドリア障害を起こします(日本薬物動態学会セッション)。近年、ミトコンドリアは自然免疫に重要な働きをすることが知られるようになってきました。

 つまり、ウイルス感染症で解熱剤を使うのは有益ではない。治りを遅くする恐れがあるということになりそうです。
 
 風邪・コロナ・インフルエンザ(ウイルス感染症)を治せるの自分の自然免疫(ミトコンドリアの力)だけ!! 日頃の養生はもちろん大切ですが、漢方薬・サプリメントを上手に利用して、ウイルスに負けない身体を作りましょう!!!
 ちなみに牛黄は「余分な熱だけ取る」という現代医学にはない高貴薬です!!