ファーマシーそま通信 2016盛夏号
私たちのオススメ
~「聞いて得する! 眠りのはなし」
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構
教授 医学博士 裏出良博氏 講演より~
兒玉眞理子
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構
教授 医学博士 裏出良博氏 講演より~
兒玉眞理子
睡眠は、生きているのに定期的に意識がなくなるという不思議な現象です。私たちはなぜ意識がなくならないといけないのか、理由はわかっていません。
実験的研究の歴史は浅く、100年ほど前に初めて行った実験から、睡眠の液性調節説がとなえられました。何日も犬を起こしておいて、ついに眠ったときに取り出した脳脊髄液を別の犬に注射したら、その注射された犬が眠ったというのです。何日も眠らなかった犬の脳の神経細胞は減っていました。そこで、起きていると毒素がたまって、その毒素を消すために睡眠物質が出ている(ピエロンの睡眠毒素説,1913)と考えました。
ただ、この実験ではそもそも犬がいつ眠っていたのかがはっきりしていません。目をつむっているゴリラが眠っているのか起きているのか、意識がないのかあるのか見ただけではわかりませんね。
現在は脳波を測定して睡眠と覚醒を判定しています。
睡眠時には覚醒時と異なる種類の脳波のパターンが出てきます。睡眠が深くなるにつれてα波、β波、θ波、δ波のパターンは単純化していきます。まず、視覚がなくなり、聴覚がなくなり、身体の力が抜けていきます。なんだか、身に覚えがあるような順序です。
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠には脳波の違いにより、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。レム睡眠とは、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)を伴う睡眠のこと。レム睡眠に入ると突然脳が活動しだし、脳波のパターンは起きているときに似ています。眼球は動きますが、身体は金縛りのような状態です。脳の活動の通りに身体が動いてしまうと大変だからです。
一方、ノンレム睡眠は、レム睡眠ではない睡眠のことで、浅いまどろみから熟睡まで、4つの段階に分けることが出来ます。
一般的に人間の眠りは、浅いノンレム睡眠から始まり、徐々に深くなり熟睡状態となり、再び浅い段階のノンレム睡眠を経てレム睡眠に入ります。レム睡眠は約90分ごとに出現し、この一連のサイクルは睡眠周期と呼ばれています。一晩に8時間睡眠をとれば、睡眠周期は5回繰り返されることになりますが、最初の2周期、つまり入眠後の2~3時間のうちに、最も深い熟睡の段階のノンレム睡眠があらわれます。一方、レム睡眠は周期を重ねるごとに持続時間が長くなります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、ほとんど一日中眠って過ごしますが、5~10歳くらいにかけてレム睡眠とノンレム睡眠の約90分の睡眠周期が完成します。中高年期になると、深いノンレム睡眠の時間はだんだん短くなり、現れる回数も減ってくるのです。
睡眠の役割
睡眠にはまだ謎が多いのですが、睡眠中の活発な脳の活動がわかってきています。
《ノンレム睡眠中》
☆脳と体の細胞を修復する成長ホルモン(修復ホルモン)が分泌されます。しかも最も深い眠りであるノンレム深睡眠のときにまとまって出ます(Credential 2011)。もし、深い眠りが少ないと、脳と体の修復が滞ってしまい、その結果、日中に頭がボーっとする、眠ったのに疲れがとれない熟眠障害などが生じます。
《レム睡眠中》
☆レム睡眠中は筋肉が緩み、体は完全な休息状態になります。体の筋肉の疲れをとり、体力を回復させます。
☆記憶の固定と整理が行われます(Brain Medical 2006)。学習時と睡眠時の脳活動の比較が行われたところ、学習時とよく似た活動が学習直後のレム睡眠時に海馬で再現されることが明らかになりました。また、学習後にレム睡眠の割合が増える、レム睡眠を抑制すると記憶保持が損なわれるという行動学的研究結果もあります。
記憶が整理されないと、大切な事をおぼえていることも、嫌なことを忘れることもできず、ストレスがたまってしまいます。
他にも、
☆睡眠中は免疫系を調節します。
☆アルツハイマー病の原因となるアミロイドβペプチド(脳神経の毒となるもの)を脳からくみ出しています(Science 2013)。
睡眠不足
このように睡眠はさまざまな役割を果たしています。睡眠が不足すると、認知機能低下、ストレス蓄積、免疫力低下、食欲亢進、甘味がほしくなる、塩分の嗜好性増加、老廃物蓄積(→認知症)といった様々な弊害が起きてきます。
睡眠物質と覚醒物質
冒頭にお話ししたイヌの実験は断眠中に脳内に蓄積する「睡眠物質」の存在を予言しました。その後、約1世紀の間に、動物の脳や血液から約30種類にも及ぶ睡眠誘発物質が報告されました。その中で、約25年前に京都大学の早石修らによって睡眠誘発作用が発見され、現在、裏出先生たちが研究を継続しているプロスタグランジンD₂はその作用が最も強く、分子機構の解明がもっとも進んでいるそうです。脳内で、プロスタグランジンの信号はアデノシンの信号に変換され、脳の睡眠中枢に働き、眠くなります。コーヒーなどに入っているカフェインはそこをブロックして目を覚まさせます。GABAは睡眠、ヒスタミンは覚醒に働きます。ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬による眠りには、自然の眠りとは異なる独特の脳波が現れます。また。深いノンレム睡眠が少なくなります。(精神神経学雑誌1982)
~質の良い眠りを得るためには?~
質の良い眠りを得るためには、脳への栄養補給と体と脳の細胞が受けるストレスを軽くすることが必要です。
1) 眠るためには、眠りを導くアデノシン・GABAなどの睡眠物質が脳内に満たされることが、必要です。「睡眠物質」はブドウ糖・アミノ酸を原料とし、亜鉛・セレン・銅・ビタミンB12などのミネラル・ビタミンの働きによってつくられます。積極的に取り入れましょう。
2) 人はストレスがあると臨戦態勢になるために血糖値を上げるコルチゾール(ホルモン)が分泌されます。通常は危険が去れば、コルチゾールが減少するように脳の海馬でフィードバック機構が働くのですが、過剰な活性酸素があるとそのしくみが働かなくなり(海馬のグルココルチコイド受容体が減少)、コルチゾールが過剰な状態になります。血漿中のコルチゾールが増加すると、記憶力の低下、不眠・うつ状態を引き起こします。ちなみに、入眠時の血漿中コルチゾール濃度が高い人は中途覚醒を多く起こす(夜中に何度も目を覚ます)ことが報告されています(Rev Neurol(Paris)2001)。
しかし、脳内に入っていける抗酸化物質で過剰な活性酸素を処理して消してやると、コルチゾールが減少する(グルココルチコイド受容体の数が回復する)ことがわかりました。
『ワタナベオイスター』から見つかった抗酸化物質
牡蠣の中から、過剰な活性酸素を消す能力が高く、脳へ移行し、細胞の奥深くへ浸透できる優れた抗酸化物質(E6)が発見されています。
牡蠣からそれを取りだせる技術をもつのはワタナベオイスターだけです。抗酸化物質は ワタナベオイスター製品の中でもドリンクやゼリータイプに多く含まれており、ドリンク1日1本で、中途覚醒の時間が有意に短くなるという結果がでています。ぐっすり眠りたい方は是非お試しください!!
~ストレスは血管を傷つけます! どうしたら守れる?〜
ストレスは交感神経を働かせます。その結果、血管は収縮し、いわゆる虚血状態を引き起こします。やがてストレスから解放されると血管が拡張し、再び血液が流れ出します。
このとき、虚血状態の間に血管の内部で出来た物質や大量に供給された酸素をもとに活性酸素が発生し、血管にダメージを与えます。つまり、ストレスから解放されて血液が流れ出したときに、活性酸素が出来て血管が傷ついてしまうのです。
この「虚血再還流障害」を防ぐには活性酸素を除去する抗酸化物質を入れてあげるのが有効です。オススメは『GBE−24』です。脳に入って行ける優れた抗酸化物質です。日常生活の中に「緊張と緩和」また「じっと座っていた後に急に動く」というような機会はよくありますね。こんな時に活性酸素が発生しているかも。
ぜひ日頃から『GBE−24』を摂って血管を守ってください!!