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ファーマシーそま通信 2017盛夏号 後半

2017.09.12



  ☆高脂肪食が腸内フローラを変化させる。
 これまでの研究により、高脂肪食が腸内フローラを変化させ、その結果、変化したフローラが疾病や健康状態に悪影響を及ぼしていることは明らかです。
 
 高脂肪食による腸内フローラの変化は、脂肪肝やメタボリックシンドロームの原因になりそうなことはこれまでも指摘されてきましたが、どうやらそれだけではすまないようです。
 
 高脂肪食を与えられて育ったマウスの腸内フローラを、肥満でないマウスに便移植した結果、移植されたマウスは肥満になる前に、不安の増加、記憶障害、反復行動など複数の行動障害を示すようになりました
 その原因について調査したところ、腸管透過性や炎症マーカーの亢進、脳内の炎症反応の兆候もあり、その炎症が行動変化につながっているようです。

 さらに高脂肪食という食事の種類だけでなく、食行動も腸内フローラに大きな影響があります。1日中高脂肪食を食べ続けているマウスは、腸内フローラが「肥満菌」に支配されてしまうことが報告されています。同じ高脂肪食でも、マウスが活動する夜だけ食べている群に比較して、昼夜によらず1日中自由にエサを食べる群では、腸内フローラの種類が減少し、「肥満菌」に占められることになるようです。
 食事の内容も重要ですが、延々と食べ続けないことも大切と言えるかもしれません。
(資料1)

 



☆人工甘味料が腸内フローラを変化させる。
 サッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料についても、最近気になる報告があります。11週間にわたり、ヒトの推奨最大摂取量の人工甘味料をマウスの体重にあてはめた分量で摂取させ続けた結果腸内フローラが変化し、マウスのグルコース負荷に対する反応が低下し、糖尿病の予備軍になる耐糖能異常が現れたというものです(Nature;2014)
 人工甘味料が直接的に影響しているのではなく、腸内フローラの変化を介しているようで、腸内細菌を試験管内で人工甘味料を入れて培養し、その腸内細菌を、腸内細菌のいないマウスの腸に投与すると、血糖値を下げる反応が低下することも確認されています。(資料1)
 
 血糖値を下げたい方は人工甘味料を使いがちですが、使っていると腸内細菌が変化し、かえって糖を処理する能力が落ちてしまう可能性があるようですね。
 
資料1「消化管は泣いています」京都府立医科大学付属病院 内藤裕二著
資料2「失われていく、我々の内なる細菌」 マーティン・J・ブレイザー著




☆抗生物質の腸内細菌への影響
 アメリカの子どもは2歳までに平均で3回、抗生物質の処方を受け、10歳までにその合計は平均で10回を超える。(資料2)
 抗生物質を投与されたマウスでは、腸内フローラの減少や薬剤耐性微生物の増加だけでなく、宿主マウスの組織ミトコンドリアの遺伝子発現とその活性が阻害されていました。ミトコンドリアの機能低下はこれまでメタボリックシンドロームや糖尿病、肥満などとの因果関係が指摘されています。(資料1)
 抗生物質を摂ると単に腸内細菌が死ぬだけでなく、筋肉などからだの中でエネルギーを作り出す、ミトコンドリアの元気がなくなるのですね。




☆母の腸内細菌が子どもの脳に影響か
(福井大学チーム;福井新聞ONLINE2016.01.21)
 福井大学の研究チームは、腸内細菌が少ない母親から生まれた子どもに発達障害が現れる可能性があることを妊娠マウスの実験で示したと発表した。米オンライン科学誌プロスワンに論文が掲載される。
実験では、妊娠期の母マウスに、抗生物質を飲ませ、腸内細菌を減らしてバランスを乱し、その後生まれた子を観察した。
 正常な母マウスから生まれた子と比べ、生後4週間で平均体重が約2グラム(12%)軽く、夜行性なのに暗闇での活動が低下し、広い空間では不安から壁沿いを移動するなどの異常が見られた。生後7~8週間でも低体重、壁沿いの移動の異常があった。
 これとは別に、正常な母マウスから生まれた子を生後すぐ、腸内細菌を減らした母マウスに育てさせても生後4週間で暗闇での活動低下など異常が見られた。
 逆に腸内細菌を減らした母マウスの子が、正常な母マウスに育てられると正常な行動を示したことから、出生後に脳の発達が影響を受けるとみられる。
 
 母体の腸内環境悪化と子どもの脳の発達異常について関連性を示唆する内容で、仕組みの解明や予防につながる成果と、期待されるが、福井大の栃谷特命助教は「発達障害の原因はさまざまあり、母親の腸内細菌の減少、バランスの乱れはあくまでリスクの一つ。しかし妊娠、出産の時期に腸内環境を整えることはリスク軽減や予防につながる可能性がある」と説明した。
 人の場合、産道を通るときから細菌を摂取し、腸管で腸内細菌を育む。産後も授乳などで母親の皮膚から細菌が入るという。ただ、脳の発達に腸内細菌がどう関与するかは不明で、研究チームは仕組みの解明をめざす。
 
 これまで、生まれる子供さんがアレルギーにならないよう、妊娠中からお母さんの腸内フローラを良いものにしましょうとお伝えしてきましたが、脳の発達にも影響があるのですね。
当店のスタッフも妊娠中から乳酸菌『フェカリン』を摂り、今とってもキレイなお肌の赤ちゃんがすくすく育っています。